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甘いものが食べたいとコンビニに立ち寄った。真っ暗の中に眩しい光を放っていて、そこだけが切り取られて見えた。寒さに慣れてしまった体温には光でも暖かく感じられた。 「進さんは何がいい?」 他を見て回ることはせず、連いて来てくれていたから聞いてみた。私はデザートを目指して歩いている。プリンだとかヨーグルトだとか、溶けてしまう甘さが無償に食べたくなっていた。それを口実にして、まだ彼と食事を楽しめるだなんて余計な気持ちも合わさっていた。 少し迷って決められず、新商品の文字のプリンをひとつ手に取って、味の違うもうひとつも空いた手で取った。返事のない彼の言葉を待つことはせず勝手に決めてしまった。 これだけ、と決めレジに持っていく。途中に暖かい場所を通る、ホットドリンクのコーナーだ。彼は立ち止まり選んでいるその横に青い色が見えた。 それは冷たいガラスケースの中に、ひとつだけ不自然な程眩しい青色だった。 「…うみのバニラ?」 パッケージにあった言葉をそのまま口に出してみる。少ない単語からの情報では、これは塩味で海の味がするアイスクリームのようだ。思わずひとつ、手に取っていた。ガラスの扉を引くと、やはり冷えていた。 帰り道のその中で、買ったばかりの袋を腕に通し青い蓋を開けた。あまいあまいバニラの中に塩味がする、不思議な感覚。木のスプーンですくうと口の中でシャリと溶けていった。 「はこんな寒いのに、ようそんなもん食べる気になるなぁ」 呆れたように横に並ぶ彼の手の中には暖かいコーヒーの缶があった。 「きっと一人きりで歩いていたなら食べないよ」 はい、と渡す。スプーンに少しだけ乗せた塩味のアイスクリーム。 「うみの味する?」 私は暑い夏しか海に入らない、味も知らない。穏やかなきらきらと眩しい海しか見ていない。貴方の居る海はどんな味がするの? 「あんませーへんな」 あっさりと否定されてしまったうみのあじ。スプーンに口付けると甘い中に塩味がして、でもやはり甘い。吐く息が更に白くなった。 貴方の海もこんなにも甘ければいい。 それは言えずに飲み込んだ。私が口にしていい言葉ではないのだから。 「でも、うまいとは思うで?」 もう一口、とコーヒーの缶を突き出す彼に、受け取り、代わりに青色を差し出した。言葉の割りに気に入ったようで小さなスプーンですくって食べている。見ながらぼんやりと、きっとこの先ずっとその青いアイスを見るたびその横顔を思い出すのだろうと思った。私の指先は暖まってきた。 (07.02.18) (このアイス本当に売ってます、室戸海洋深層水使用なんだって。おいしいよ) |