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夜、ニュースをつける。ぼんやりと眺めているだけでは、流されていく情報たち。今日も私は一日が終わってしまったけれども、世の中にはこんなにも沢山の出来事で溢れている。それを伝えるのがこの、ニュースでテレビなのだからそんな当たり前の事を考えても何が変わるわけでもなくて。遠くで起こっている現実をただぼんやりと眺めていた。 そこに不意に黒い海とオレンジ色が飛び込んできた。急に色が付いて鮮やかに見えた。 「…あ、進さんの…」 単語ひとつひとつを取りこぼさない様にと、距離を縮めてその前で座り込んでまう。たとえここにいるのが貴方ではなくても、思わず手を伸ばす。遠く離れているのに触れる指先は埃でうっすらと黒くなってしまった。近すぎる距離にぼやけて見えた。 どうしようもなく涙が出た。この先、いったい何度繰り返せばいいのかと、自分で自分を馬鹿にしたくなる。この映像はリアルタイムではないのだから、それが余計に不安にさせる。同時に安堵にも変わる。 私にはブラウン管を通してでしか見ることが叶わない現実の中を生きている。 彼は、
いちばん近くて 遠いひと 私は決まって短いメールを送る。返事が返ってきても、来なくても、不安をぬぐえないのに。判っていても。 『変わりはないですか?』 これだけが私を保つ精一杯だ。 どうか。どうかどうかどうか。 笑いながら馬鹿にして、呆れた笑顔で帰ってきて。 コール音が鳴る。震える電話に驚きが先に、3回目の音を待たずにボタンを押した。 「、どないした?」 音が流れる。彼の少し驚いた、それでいて笑いを含んだ声。電話を握り締め、目を閉じる。その方が貴方を感じるから。 「お疲れさまです」 海を見るたび思い出すよ。貴方の名前。声。指先。 こんな私を作ってしまったのは、間違いなく貴方のせいだ。 (07.02.12) |