「今日は飲みに行くゆうてたんと違うんか?」

珍しくお互いの休みが一致した日の前日。どうせなら、と休みの一日前にどちらかの家に泊まってしまうのが、いつからかの定番になってしまっていた。それが今回はには先約があり、食事に行くと聞かされたのは昨晩の電話での事。予定通りでは、明日のランチまでに逢うはずだった。
なのに、今、目の前に彼女は立っている。

「…うん、そう、なの。ごはん食べてたの、」

さっきまでは、と補足しながら。今日は初めて入った創作イタリアンでいかに美味しかったかを説明された。あまり、と言うよりも全くまとまっていない話し方と、心なしか早口になっている事に、は気付いているのだろうか?相槌だけを間に挟み、言いたいだけ話をさせておくことにした。

「でもどうして?すごく美味しかったから、進さんと食べたくなったの」

一息置いて、そこでやっといつもの口調に戻った。少し、血色が良いのはアルコールが入っているせいなのだろう。酔いが醒めきる前に帰ってきたにふっと笑みがこぼれる。
そんな人の顔を確認してか。

「どうして?私進さんのことすごくすきみたい」

再度、疑問で話しかけられた。答えなど求めていないのは明白で、答えと一緒にある言葉だから質問ですらなっていないのだが。

「当たり前やんか」

まるで幼い子供にそうするように、髪を混ぜてかきまわした。やわらかいの髪。




不意打ち、不覚にも狼狽




理由にならない理由で、今ここで会話をしている現実。愛されてるなぁだなんで。

「笑われてるし…私、すごく子供みたい、恥ずかしいなぁ」

言いながらも嬉しそうに笑っている。この笑顔に弱いだなんて言えばきっと、貴方も子供じゃないと笑い返されるだろう。

「しゃーないわ、にもっとうまいもん食わしたろ」

愛し返し方はこれしかないだろう、とひとりで納得した。
いまだ顔が火照ったままのにとりあえず冷えたビールを手渡した。
味気ない、とやはり笑いながら彼女は受け取った。





(07.01.31)

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