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159話のお話です


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 六隊が、と叫ぶ声は私にも届いた。

 徹夜明けの彼を含む、彼の隊をここまで送り届けたのは私。現場に送り届けて、明らかな疲労を増やした顔を迎えに行った。
 関係者やらマスコミやら、やたらとギャラリーの多いプール脇に私も加わる。六隊の状況は最下位、昨晩の様子をしらない私以外の者でも容易に想像できる結果が示されている。
 ふたつめの競技が終わって倒れ込んでいるのは彼だけだった。隊長なのに、ひとりだけ。夜通しの労働からよくもまあ、あそこまで動けたものだと感心する。と同時に、彼らしくないと思った。
 どんな時にでも人間味に欠けた、良い意味の評価で難なくこなして見せるのに。それどころかあっさりと記録まで作ってしまう彼なのに。私の目からは遠すぎて、仰向けに倒れていることしか確認できないのに。

 叫ぶ声が聞こえた。
 嶋のひよこが、肩で息をするのに気力だけがやたらと旺盛で、他の隊員の状況もお構いなしで六隊がと主張していた。随分と勝手で、それでもきっと言い出した本人にしかできない行動で、そして若さを感じた。あれは当の昔になくしてしまったものだ。 瞬間の顔が何年も前の彼の顔に見えた。それこそ十年以上も昔の彼に。そんな筈はないのに、似ても似つかないのにどうしてだろうと疑問に思うのに。
「機長、おかしいんですか?」
 隣に並ぶ、副操縦士に指摘された。
 嶋のひよこの大声に反応して、何事もなかったような涼しい顔には程遠いも、決して徹夜明けの顔には見えない顔で起き上がっただろう彼に。表情は読み取れない筈なのに手に取るようにわかってしまった。長年の付き合いというやつで、腐れ縁というやつで、判ってしまうのだからどうしようもない。
「笑ってますよ?」
 だって、判ってしまったのだもの。嶋のひよこに似ていると思った訳も、彼だということも。
 今の今まで立てない程に疲労していた筈なのに、それは微塵も感じさせない立ち振る舞いをやってのけている。いきいきとしているじゃない。隊長さん。
「そうね」

 一瞬、彼が、昔の若さで溢れた真田君に見えた、だなんて説明するのも億劫だったので一言で済ませた。




解けて消えようか





(07.09.16 真五のような五十嵐さん。トミーが不憫すぎる、よね)
(title.. 約30の嘘

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